輸出は7か月連続減少

 韓国経済の牽引役のはずの輸出不振が続いているのだ。

 2023年4月の輸出金額は前年同月比14.2%減だった。輸出は7か月連続して減少し、貿易赤字は14カ月連続となった。

 尹錫悦政権が発足した2022年5月から2023年4月までの1年間で累計貿易赤字額は660億ドルとなった。

 貿易立国のはずが、貿易が経済成長の足を引っ張っている。ひいてはこの貿易、輸出不振が経済成長率の鈍化に直結している。

 輸出不振の2大要因は、「半導体」と「中国」だ。

 4月の半導体輸出額は前年同月比41%減だった。対中輸出も同26.5%減だった。

 対中国輸出は、ちょうど尹錫悦政権が発足した頃に減少に転じた。昨年秋以降は半導体輸出も急減している。

 品目別では半導体、仕向け先別では中国が、韓国の輸出の「2大看板」だった。

 世界的な半導体メモリーの供給過剰と在庫急増で半導体輸出は急減している。

 対中輸出はより深刻だ。

 韓国の対中貿易黒字は2013年には628億ドルに達した。2018年時点でも556億ドルだったが、翌年半減した。2022年にはわずか12億ドルとなった。

 新型コロナの流行対策のために中国で工場の稼働が急速に下がったことも輸出減の理由だ。

 だが、それだけではない構造的な原因もあるという。通商問題が専門の大学教授はこう説明する。

「韓国から中国への輸出が急増していた時期は、韓国企業が中国現地生産を急拡大していた時期と重なる」

「つまり同じ韓国企業内の取り引きが増えていたのだ」

「ここ数年、韓国企業は生産拠点を中国から他の地域に急速に移転している。だから輸出も減る」

「こういう構造だから、稼ぎ頭だった対中輸出は、中国の経済が回復しても以前のようには伸びない」