和の経営で知られたLGグループに内輪もめが起きている

「あのLGでこんなことが起きるとは・・・」

 韓国の財閥オーナー家で家族間の紛争がまた起きた。今度は、家族円満で「和の経営」として知られたLGグループだった。

 韓国の財閥オーナー家で家族間の紛争が起きることは珍しくない。

 サムスン、現代、ロッテ・・・「金持ち喧嘩せず」という言葉とは全く逆で、こうした財閥オーナー家では親子、兄弟間で経営権や相続を巡り激しい紛争、訴訟が繰り返されてきた。

2018年、急遽4代目会長に

 ドラマよりドラマチック。

 日頃、冷静な言動で知られたオーナー会長が、記者の面前でヒステリックに実の兄や弟をののしる光景が何度も繰り返されてきた。

 そうした中で「家族内の紛争と無縁」を誇ってきたのがLGグループだった。

 そのLGグループで、会長を母親と妹2人が訴える騒動が起きてしまった。韓国メディアによると、こういうことだ。

 LGグループの4代目会長である具光謨(ク・グァンモ=1978年生)氏に対して、母親と2人の妹が2023年2月末、ソウル西部地方裁判所に「相続回復請求訴訟」を起こしたのだ。

 具光謨氏と母親、2人の妹は2018年に死去した父親(3代目会長)から株式などを相続した。

 この手続きに問題があって母妹3人の相続権が侵害されたのでただせという訴訟だ。

 具光謨氏は2018年6月、40歳でLGグループの持ち株会社「LG」の会長に就任した。若くして財閥総帥になったのは、3代目の具本茂(ク・ボンム=1945年生)会長がこの年の5月に死去したからだ。

 具本茂氏は前年から体調を崩し、実弟が事実上の「会長代行」の役割を務めてきた。

 長男の具光謨氏は若いうえに企業経営の経験が不足しており「会長の代行を務めてグループ全体を把握している実弟が会長に就任する」との見方もあった。

 ところが、具光謨氏がLG電子常務からグループ会長に昇格した。

 このとき、LGグループは韓国メディアに対して「家族で協議をして長男継承のルールを踏襲することになった」と説明していた。

 LGグループの後継者は、家族のルールを守ることで決まったのだ。会長就任と並行して、遺産相続作業が進んだ。

 具本茂氏が死去した際、持ち株会社「LG」の株式を11.28%保有していた。このうち8.76%分を具光謨氏、長女が2.01%、次女が0.51%を相続した。

 故人の妻(具光謨氏の母親)はすでに過去に4.2%分を譲り受けていた。