全経連会長代行が決まった金秉準氏(2016年11月3日撮影資料写真、ロイター/アフロ)

 日韓間の最大の懸案である旧徴用工問題について韓国政府が2023年3月5日に「解決策」を発表した。

 韓国メディアは、民間交流促進のために基金を設立するとも報じている。

 この役割を韓国側で担うのが全国経済人連合(全経連)だが、この団体はいま、会長不在の異例の体制になっている。韓国政府の発表は、韓国の財団が原告への賠償を支払うという解決策だ。

未来青年基金

 韓国メディアは、この解決策と並行して、日本経済団体連合会(経団連)と全経連が、若者の交流の促進を目的とした「未来青年基金」(仮称)を設立することを検討中だと報じている。

 韓国紙デスクによると、留学支援などが想定されているという。この韓国紙デスクは、こんな感想を漏らした。

「全経連にとっては久しぶりに大きな役割を担うことになる」

 いったいどういうことなのか。

 長年、韓国を代表する経済団体として活動してきた全経連だが、ここ数年はその存在感が大幅に低下していたのだ。

 その象徴が、「会長人事」だ。

「いくら引き受け手がいないと言ってもまさかの人事だ」

 2023年2月23日、全経連の定期総会で決まった人事を、ある経済閣僚経験者はこう評した。

初めての企業人でない「代行」

 この日の総会では、会長を選任できず、空席になって企業人ではない金秉準(キム・ビョンジュン=1954年生)氏が「会長職務代行」という異例のポストに就任した。

 全経連トップが企業人でないのは初めてだ。金秉準氏とは一体どんな人物なのか。

 伝統的に保守の地盤である韓国東南部の大邱(テグ)近くの出身で、大邱商業高校から嶺南(ヨンナム)大学卒業後、韓国外国語大学大学院、米デラウェア大学大学院で政治学を学んだ。