昨年11月、プノンペンで首脳会談を行った岸田文雄首相と尹錫悦大統領(提供:Japanese PM Press Office/UPI/アフロ)

 何かと物騒な話題や悲惨なニュースが日常茶飯事となっている中で、久々の朗報が、韓国から飛び込んできた。3月6日午前、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の朴振(パク・ジン)外相が、「未来志向的な決断」を発表したのだ。

「冷え込んだ韓日関係が、事実上放置されてきた。今後は韓日関係を未来志向的に、より高いレベルに発展させていきたい」

 前世紀の太平洋戦争中に、日本企業が韓国人労働者を「徴用」したとする問題に関して、2018年に大法院(最高裁判所)から賠償を命じられた日本企業に代わって、韓国政府の傘下にある財団が、原告に対して支払いを行うという。財源は、韓国企業などの寄付で賄うとしている。つまり、「日本側が賠償する必要はない」というのだ。

首相の腹の中にあった韓国へのわだかまり、ようやく消えたか

 同日、参議院の予算委員会で答弁に立った岸田文雄首相も、韓国政府の「英断」に即応した。

「日本政府として、この措置を、健全な関係に戻すためのものとして、評価いたします」

 岸田首相としても、感慨深いものがあったのだろう。2015年12月、当時の安倍晋三政権が、朴槿恵(パク・クネ)政権と「慰安婦合意」に至った際、ソウルへ行って「片を付けた」のが、岸田外相だったからだ。この合意を、次の文在寅(ムン・ジェイン)政権が、いともあっさりと反故にしてしまった。