3月11日、北京の人民大会堂で行われた全人代において握手する習近平国家主席と首相を退任する李克強氏(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 3月13日、北京で全国人民代表大会が閉幕。異例の国家主席3期目に突入した習近平主席は、かつて中国を治めてきた皇帝のような「絶対権力」を手にした。

 中国の官製メディアは、「われわれは勝利のうちに大会を閉幕した」と総括したが、まさに勝者は習近平主席だった。

 だが権力闘争には、勝者があれば敗者もある。

 以下、「4人の敗者」について見ていきたい。いずれも、昨年10月の第20回共産党大会で議場から引っ張り出された胡錦濤元主席に連なる「団派」(中国共産主義青年団)に連なる面々である。

握手はしても習近平氏を「ガン無視」した李克強前首相

(1)李克強・前首相

 過去15年ほどにわたり、習近平主席の同世代の最大のライバルだったが、ついに政界引退となった。

 今回、李克強氏に関して、象徴的な光景が二つあった。一つは3月11日、人民大会堂で李強党常務委員(党内序列2位)が新首相に選出された時だ。習近平主席が、隣席の李克強前首相に握手を求め、二人は壇上で握手した。

 李克強氏は、習近平政権10年にわたって、ナンバー2の国務院総理(首相)を務めてきたのだから、トップがその労をねぎらうのは当然だろう。

 会場を埋めた2947人の全国人民代表大会代表者たちも、大きな拍手を送った。

 だが当の李克強前首相は、習近平主席のことを「ガン無視」したのだ。