ソウル市内の百貨店内に登場した「スラムダンク」のポップアップストア(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

 30年前の韓国で一世を風靡した漫画「スラムダンク」だが、その劇場版アニメ「ザ・ファースト・スラムダンク」が韓国で爆発的ヒットを続けていることはすでに日本でもニュースになっているだろう。

 1月第1週の劇場公開以来、第4週からは興行収入トップとなり、観客動員数は瞬く間に300万人を突破した。これで日本アニメ映画の興行収入で歴代2位となっただけでなく、今年韓国で公開された映画で初めて観客300万人を突破した作品になった。

 韓国内のスラムダンクの人気の凄まじさは、単に映画のヒットだけにとどまらず、もはや一つの社会現象となっている。

もはやシンドローム

 映画公開に合わせてリニューアル発売された単行本の発行部数はすでに100万部を超え、コンビニから発売された「スラムダンクワイン」も人気を集めている。全国各地にオープンした期間限定のポップアップストアは、朝早くから長い行列ができ、若者の間ではバスケットボールが大流行している。

 さらには、テレビアニメの中に登場する湘北高校近くの江ノ電の踏切の風景にそっくりだとして、釜山海雲台(プサン・ヘウンデ)の青沙浦(チョンサポ)は、時ならぬ聖地巡礼客が押し寄せ賑わっている。スラムダンクに熱狂する若者たちを指して、「スラチンジャ(スラ狂者=スラムダンクに狂った者)」という流行語まで誕生するなど、まさにシンドロームの様相なのだ。

 有名人も続々と、スラムダンクのファンであることをカミングアウトしている。歌手や俳優、アナウンサーなどの芸能人はもとより、なんと政治家までもがファンであると告白しだし、世間の注目を集めている。