現在、与党の「国民の力」党代表選挙に出馬し、連日広報に熱を上げている安哲秀(アン・チョルス)元大統領候補は、SNS上で、スラムダンクの長年のファンだと告白し、漫画全巻を所蔵している証拠写真をアップした。彼は、自分が湘北高校バスケットボールチームの監督である安西光義(韓国版での名前は安ハンス)と同じ安氏であることを強調しつつ、「ザ・ファースト・スラムダンク」をもじりながら「ファースト名品政党『国民の力』を作るために努力する」と抱負を語った(「名品政党」は安氏の造語で「一流の政党」の意)。

検事総長が「左手はそえるだけ」

 李在明(イ・ジェミョン)共に民主党代表や文在寅前政権関係者らの捜査で、巨大野党から集中攻撃を受けている韓国検察を率いているイ・ウォンソク検察総長は今年初め、最高検察庁で開かれた検事転出申告式に出席したとき、このように語り、スラムダンクのあの名言に触れた。

「『左手はそえるだけ』という言葉があるように、検察の仕事は真実が満天下に本来の姿を現すように助けることだ(韓国語では「左手は助けるだけ」という翻訳になっている)。根拠のない外部からの攻撃と非難に振り回されたりせず、原則と手続きを守り証拠と法理に従って真実を明らかにしよう!」

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の支持層から絶対的な人気を得て、早くも次期大統領候補にまで挙げられている韓東勲(ハン・ドンフン)法務部長官の執務室に桜木花道や流川楓などのフィギュアが置かれている写真が公開されたことも話題を集めた。73年生まれの韓長官はまさに漫画「スラムダンク」が流行した90年代に青少年時代を過ごした「スラムダンク世代」ともいえるだろう。

 こういった予想をはるかに上回るスラムダンク旋風の発生には、韓国メディアが果たした役割も大きかった。各種メディアを賑わせるスラムダンク関連記事は、単に興行に対するニュースに限らず、スラムダンク人気の要因や背景を分析したり、スラムダンクを通じて韓国社会を眺めたりする特集記事も目を引く。

 例えば、『韓国日報』は「失敗はスラムダンクのように」(2月14日記事)という記者コラムの中で、スラムダンクの失敗の教訓をもって韓国社会を次のように論じている。