(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)
前回、徴用工問題を取り上げつつ、韓国の市民団体の問題点を指摘した記事を寄稿した(参考:日韓関係改善を阻害してきた韓国の「市民団体」、ついに改革の標的に https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73470)。記事の趣旨は、そもそも韓国の市民団体は、元徴用工を助け元徴用工の利益にかなうよう問題の解決を図ることには関心がなく、ただただ日韓の対立引き延ばしを図っている、というものだ。
その中で、市民団体と北朝鮮との関係について簡単に触れたが、この事実は以下のような重要な問題を孕んでいる。
文在寅(ムン・ジェイン)政権では、北朝鮮スパイの取り締まりをほぼ放棄していたため、北朝鮮のスパイが市民団体の活動に入り込んだ。また、左翼系弁護士の団体が司法府を支配するようになり、彼らの意向が大法院の判決などを通じ、市民団体の活動を後押ししてきた。
このように韓国の一部の市民団体は、北朝鮮の指示を受け、左翼に支配された司法界と連携し、文在寅政権が提供した補助金を使って韓国社会に大きな影響力を行使してきたのである。これが文在寅政権時に日韓関係が「過去最低」と言われる水準に落ち込んだ大きな要因になっている。
今回の寄稿ではこうした点を解明したい。
日米韓の関係強化のためにも韓国の左翼支配を一掃することが不可欠
文在寅政権下では、北朝鮮スパイの動きは隠蔽されてきた。また左翼系司法界の支配構造は、三権分立を盾に見過ごされてきた。
しかし、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権になってこうした点を是正する動きが始まっている。特に、最近韓国のメディアを賑わしているのが、北朝鮮のスパイ取り締まり強化である。