徴用工問題を巡り公開討論会が実施された(写真:AP/アフロ)

(羽田 真代:在韓ビジネスライター)

 2023年1月12日、韓国では元徴用工問題(旧朝鮮半島出身労働者問題)の公開討論会が開催された。当日は会場に詰めかけた市民団体などの野次が目立ったが、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は日本企業の賠償を韓国の財団に肩代わりさせる解決案を月内にも先行公表する方向で調整に入ったと言われている。

 このままこの問題はすんなりと解決に向かうのだろうか。

 韓国では、文在寅(ムン・ジェイン)政権の時に左派・市民団体の反日主張であふれた。だが、最近は国民の「反日疲れ」や、慰安婦の支援団体で長年代表を務めた尹美香(ユン・ミヒャン/挺対協<現:正義連>元代表)氏の疑惑の数々もあり、これら問題に対する国民の関心は薄れている。

 業務上横領罪などに問われた尹美香氏には、検察側が2023年1月6日に懲役5年を求刑した。判決は同年2月10日に言い渡される。

 この求刑からほどなくして、北朝鮮のスパイとして摘発された議員補佐官がいた。韓国のネットメディアがその人物を「尹美香の補佐官だ」と報じたことで、尹美香氏は別の面からも国民の注目を集めている。

 ちなみに、彼女の夫とその妹は北朝鮮のスパイ容疑で1993年に有罪になったが、文在寅政権下で再審を要求し無罪になっている。

 北朝鮮スパイとして摘発された男性補佐官は、Colabo代表理事の仁藤夢乃氏と正義連の活動をともにしたことがあり、日本でもそれが話題になっている。

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 これらの出来事が影響したこともあり、韓国では徴用工問題や慰安婦問題離れが加速している。

 そのような中、徴用が強制だったことを裏付ける証拠として市民団体が公表した煙草配給用紙を韓国メディアが一斉に取り上げた。国民の関心を呼び寄せようと元徴用工問題の公開討論会前に標的とされたのは、日本が世界遺産の登録を目指す佐渡金山だった。