2月22日、王毅氏はモスクワでプーチン大統領と会談した(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

「中国の『仲介外交』は空振りに終わった」――早くもこんな声が、アメリカを始めとする西側諸国で広がっている。中国はウクライナ戦争に関して、一体何をしようとしているのか?

12の立場

 ロシアによるウクライナ侵攻から丸一年が経った2月24日、中国が唐突に、「ウクライナ危機を政治的に解決することに関する中国の立場」と題した文章を発表した。そこには「12の立場」が示されていて、以下の通りだ。

(1)各国の主権の尊重、(2)冷戦思考の放棄、(3)停戦、(4)和平交渉開始、(5)人道危機の解決、(6)市民と捕虜の保護、(7)原発の安全確保、(8)戦略的リスク(核のリスクなど)の減少、(9)食糧輸出の保障、(10)一方的制裁の停止、(11)サプライチェーンの確保、(12)戦後復興の推進

 また、2月14日から22日までは、中国外交トップの王毅氏(党中央政治局委員兼中央外事工作委員会弁公室主任兼国務委員)が、フランス、イタリア、ドイツ、ハンガリー、そしてロシアを歴訪。ウクライナ戦争の解決へ向けて、積極的な振る舞いを見せた。日本の林芳正外相とも、ミュンヘンで会談した。

 ウクライナ戦争は、周知のようにこれまで、「ロシアvsウクライナ」、そしてウクライナを支援するNATO(北大西洋条約機構)という構図で展開してきた。ところが、侵攻から丸一年を経て、これまで「沈黙」を保ってきた中国が、急に「表舞台」に名乗りを上げた格好だ。

 これまで丸10年にわたって、「習近平外交」を注視してきた私には、中国は主に「4つの目的」を持って動いているように見受けられる。それらを以下に詳述する。