(湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長)
韓国の2大半導体メーカー、サムスン電子(Samsung Electronics)およびSKハイニックス(SK hynix)は、2022年の世界半導体メーカー売上高ランキングで(台湾TSMCをランキングに入れなければ)、それぞれ1位および3位となった(図1)。
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そのサムスン電子とSKハイニックスが苦境に直面している。苦境の原因は以下の2つである。
(1)コロナ特需の終焉による大不況
(2)米国の半導体政策による悪影響
今のところ、サムスン電子とSKハイニックスは、世界1位と3位に位置しているが、上記の問題への対処によっては、ランキングの上位から滑り落ちるだけでなく、企業存亡の危機に立つ可能性もある。それほど事態は深刻である。
特に、2020年10月20日に90億ドルで米インテルのNANDフラッシュメモリ事業を買収したSKハイニックスの先行きはかなり厳しい。そして、この買収は、もしかしたらインテルの策略によって、SKハイニックスがババをつかまされたのではないかと勘繰っている。
以下では、サムスン電子とSKハイニックスが直面している2つの苦境について説明し、その上で、SKハイニックスが貧乏くじを引いたかもしれない推測を論じる。