次に、NANDを見てみよう。NANDは、コロナ特需により、2021年Q4に過去最高の153億ドルを記録した。しかし、NANDもDRAMと同様に、2段階で出荷額は減少する。2022年Q2に144億ドルに減少し、同年Q4に84億ドルまで急降下した。この84憶ドルは、1年前のコロナ特需のピーク153億ドルの55%である。
このように、DRAMもNANDも2021年後半にコロナ特需のピークがあるが、その後、出荷額は急激に減少し、特に2022年後半に急降下して、DRAMは49%、NANDは55%に市場が縮小した。これほどひどくDRAMとNAND市場が急減速すると、メモリメーカーは無傷ではいられない。そこで、以下ではサムスン電子とSKハイニックスの各メモリにける世界シェアを確認しよう。
DRAMとNANDの企業別シェア
図5に、DRAMの企業別シェアを示す。2013年に米マイクロンが、経営破綻したエルピーダメモリを買収した後は、DRAMは、サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンの3社が事実上、市場を独占することになった。2022年Q3には、サムスン電子が40.7%、SKハイニックスが28.8%、マイクロンが26.4%のシェアとなった。

出所:DRAMeXchange、IHS;、TrendForceのデータを基に筆者作成
図6に、NANDの企業別シェアを示す。NAND市場はDRAMと違って、多数のプレイヤーが存在している。ただし、キオクシアとウエスタンデジタル(WD)は、四日市工場と北上工場で共同生産しており、最近になって、WDがキオクシアを買収するという報道がある。メモリの大不況のために、1社では立ち行かなくなったのかもしれない。

出所:DRAMeXchange、IHS;、TrendForceのデータを基に筆者作成
それともう一つ、大きな出来事がある。2020年10月20日に、SKハイニックスが90億ドルで、インテルのNAND事業を買収することが発表された。インテルのNANDは、中国の大連工場で生産している。この買収の第1段階として、2021年12月22日に、インテルのSSD事業と大連工場の譲渡が完了した。第2段階は、設計、R&D、IPなどを2025年3月までに買収することになっている。
このように集約されつつあるNAND市場であるが、2022年Q3のシェアは大きい順に、サムスン電子が31.4%、キオクシアが20.6%、インテルを買収したSK hynixが18.5%、WDが12.6%、マイクロンが12.3%、中国のYMTCが約4%となっている。