ゴードン・ムーア氏 (2001年5月24日、写真:AP/アフロ)

(湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長)

座右の銘だった「ムーアの法則」

 米インテルの共同創業者で、「トランジスタの集積度が2年で2倍になる」という「ムーアの法則」の提唱者として知られるゴードン・ムーア氏が2023年3月24日、米ハワイ州の自宅で死去した。同氏の設立した財団とインテルが発表した。94歳だった。

 筆者は、1987年に日立製作所に入社して、微細加工技術を専門とする半導体技術者になった。そのため、常にトランジスタの高集積化と微細化が仕事のテーマであり、それゆえ、ムーアの法則が座右の銘だったと言えるかもしれない。

 つまり、半導体技術者として「おぎゃあ」と生まれた瞬間から、筆者の傍らにはムーアの法則があった。そのため、ムーア氏の訃報に際しては、一抹の寒しさを感じる。それとともに、50年以上の長きにわたって世界の半導体産業の指針を与えることになったムーアの法則が、いかに偉大な羅針盤だったかと思わざるを得ない。

 そこで本稿では、ムーア氏への追悼の意味を込めて、改めてムーアの法則の本質を考察してみたい。