つまり、CHIPS法による補助金を受け取ろうと、受け取るまいと、米国による「2022・10・7」規制によって、サムスン電子とSKハイニックスは中国工場で先端メモリを生産できなくなるということだ。したがって、サムスン電子とSKハイニックスは、本当に中国から撤退せざるを得ないかもしれない。

インテルの大連工場売却は謀略?

 恐らく、SKハイニックスは、インテルの大連工場を買収したことを後悔しているのではないか。いや、もっと突っ込んだ見方をすると、インテルは、米国の半導体政策の内容を知ってしまったために、中国の大連工場を売却することにしたのではないか。「大連に工場を持っていても良いことがない」ことが分かってしまったからだ。

 インテルは、2010年に大連工場を立ち上げた。最初は、プロセッサ用だったが、後に最先端の3次元NANDに切り替えた。インテルは、大学に寄附講座をつくるなどして、中国で優秀な技術者を育成しようとした。インテルは、そのような努力を10年以上してきたにもかかわらず、いとも簡単に大連工場をSKハイニックスに売却したわけである。そこには、やはり、ワケがあると考えたくなるものだ。

 結果的に、SKハイニックスは、大連工場というババをつかまされてしまった。その上、SKハイニックスのDRAMの半分を生産している無錫工場も撤退せざるを得ないかもしれない。

 SKハイニックスが、いくら世界半導体売上高ランキングで3位といっても、大不況により赤字に転落し、今後、ドル箱だった中国のメモリ工場を閉じなくてはならないとなると、先行きは暗い。SKハイニックスの明日はどうなる?