UAEを訪問した韓国の尹錫悦大統領(1月15日、写真:AP/アフロ)

 韓国の大手銀行を傘下に持つウリィ金融持ち株会社の会長が2023年1月18日、3月末で退任することを明らかにした。

 留任に強い意欲を見せていたがこれを一転させた。昨年末には別の大手銀行トップも突然退任を表明した。いったい何が起きているのか?

 退任表明は、無念さがにじむような文面だった。

世代交代の流れに同調する

「最近の金融界で起きている世代交代の流れに同調することにしました」

 ウリィ金融の孫泰升(ソン・テスン=1959年生)会長は短い声明を出して3月の任期で退任することを表明した。

「あれだけ強く留任に意欲を見せていたのに・・・」

 金融当局幹部経験者はこう話す。

 ウリィ金融は、ウリィ銀行やウリィカードなどを傘下におく韓国の大手金融グループだ。

 1990年代末に韓国を直撃したIMF(国際通貨基金)危機を機に銀行を中心として起きた金融大再編で誕生した。

 1999年に商業銀行と韓一銀行が合併して生まれたハンビット銀行に、平和銀行、慶南銀行、光州銀行などが加わり、12兆8000億ウォンもの公的資金の投入を受けて「ウリィ金融」となった。

 孫泰升会長は、韓一銀行出身だ。

 銀行の大再編、さらに100%政府が株式を握る金融グループとして発足したウリィ金融の民営化作業という力仕事で40代の時から実力を認められ、2017年にウリィ銀行のトップ(銀行長=頭取に相当)に就任、さらに持ち株会社の会長に昇格していた。

 完全民営化を果たし、業績も安定していることから当初は続投説が強かった。次期会長選任プロセスで候補に名を連ね、自信満々だった。

 だから、最後まで自分からあきらめることはないという見方も少なくなかった。

 孫泰升会長より1か月前の12月初め、同じように「突然の退任」を明らかにしたもう一人の金融トップがいた。