外国人人材の採用、定着に欠かせないスピーキング力
──いろいろな形で外国人を採用されていますが、定着率はいかがですか。
小牧 体感的に言うと、ほとんど辞めていないですね。ベトナム人メンバーに関して言えば、2018年以降、結構な人数を採用していて、社内にコミュニティーができていることも定着率の高さに関係しているかもしれません。
いまではハノイ工科大学のベトナム人学生の間でのマネーフォワードの知名度、人気もある程度高いようです。来日後の生活などで先輩からアドバイスを受けたという話も聞いています。

──社内英語化にあたっての目標数値みたいなものはありますか。
小牧 いま目標で設定しているのがTOEICの700点以上、PROGOSのB1以上というレベルです。この数値自体はそんなに高くありません。他社ではTOEIC800点でやっていますし、韓国の企業は900点に設定しているところもあります。
──TOEICとPROGOSのどちらをより重視していますか。
小牧 どちらをということはありませんが、当社の多くの日本人社員はライティングなどに比べスピーキングの能力が低いケースが多い。書けるけれど喋れないというパターンです。そこで教育としては話すほうに結構力を入れています。
──PROGOSは国際標準のCEFR(セファール)に基づいてスピーキング力を測定・可視化する体制とのことですが、分かりやすく教えていただけますか。
小牧 CEFRのステージは上からC2、C1、B2,B1となっていまして、海外で働いているエンジニアの英語レベルは、だいたいC1と言われています。
──最後に、英語学習やTOEICなどの受験費用はどうなっていますか。
小牧 すべて会社負担となっています。
* * *
エンジニア獲得のために社内の公用語を日本語から英語にしてしまう。この逆転の発想で熾烈なエンジニア獲得戦争を勝ち抜こうという企業はマネーフォワード以外にサイボウズなどでも同様の動きがみられる。
少子化、人口減少が進む一方、あらゆる企業、組織がDXに走るなか、デジタル関連人材の需要は高まるばかりだ。日本人だけでは足りず、外国人人材が必要な業種では、社内での英語力、とりわけスピーキング力が欠かせなくなっている。
オンライン英会話のレアジョブグループによると、英語研修を導入する企業が前年同期比で45%も増加(2022年10月時点)している。また、2021年に同社が行った調査では、回答者の8割はスピーキング力を重視しているという。この先、企業に「第2次英語公用化」の波が押し寄せるのだろうか。