ベトナム人エンジニアの新卒採用に踏み切る

──英語公用化の経緯について教えてください。

小牧将和氏(以下、敬称略) ベトナム人エンジニアの新卒採用に踏み切った2018年が第1のターニングポイントになりました。

 当時、弊社はプロダクト(製品)を広げていくことで成長を続けていました。一方で国内の採用市場においてはエンジニアの需要が高く、当社も日本人の採用が厳しい状況になっていました。そこで、はじめに日本語が話せることを条件にベトナム人エンジニアの採用を開始しました。2019年にはホーチミンに拠点を設置し、この拠点の公用語を英語とすることで多くのベトナム人エンジニアが入社しました。

マネーフォワード グローバル部部長の小牧将和氏

──外国人採用にあたって社内の反応はどうでしたか。

小牧 マネーフォワードでは、日本市場向けに会計や人事労務などのバックオフィスの効率化をサポートするプロダクトを提供しています。そのため、日本の業務体系がどのようなものであるかという前提知識が欠かせません。最初はチームにも不安はありましたが、日本人社員の手厚いサポートに加えて、ベトナム人社員の順応力も高く、そこは問題ありませんでした。

──まずは外国人社員の導入から始まったわけですね。次のターニングポイントはいつになるのでしょうか。

小牧 2021年です。国内では日本人と日本語を話せる外国人のエンジニアの採用は続けていたのですが、それでも母数(絶対数)が少ない。そこで、もっと母数を広げなくてはいけないということで、日本語という壁を取り払うことにしたのです。採用する地域についても、それまでの日本とアジア諸国から全世界に広げて、英語公用化への舵を切りました。

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 エンジニアの人材獲得が困難になるなか、優秀な外国人エンジニアを採用するうえでネックとなっていたのは「日本語の壁」だった。そこで、社内(開発部門)の公用語を英語にすることで、日本語を喋れない外国人エンジニアにも門戸を広げたのである。