そこで、同じ格付けの債券を母数として、信用スプレッドが平均的にどのように時系列で変化したのかを示す「格付け別信用スプレッド」を確認してみよう。

数年に一度のペースで信用スプレッドが変動

 下記のグラフは、日本のAA格、A格、BBB格の平均信用スプレッドの推移を示したものである。


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 同じ格付けでも、大きく上下動しているのが確認されよう。わが国の場合には、グローバル金融危機が発生した2008年および2009年の信用スプレッド拡大、東日本大震災で信用リスクが高まった一部企業の格下げに伴うBBB格の信用スプレッド拡大など、数年に一度のペースで信用スプレッドは変動を繰り返している。

 もう少し期間を延ばして、より超長期で信用スプレッドの推移を確認するには米国のデータを使うとよい。

 約100年間の米国の信用スプレッドをみると、大きな信用スプレッドの拡大は、数十年単位でも繰り返されている。興味深いことに、信用スプレッドが急激に拡大した時期は、1930年代のニューヨーク株式市場の大暴落、2000年代末のグローバル金融危機と重なっている。

 大幅な株価の下落を伴う金融システム不安は、信用スプレッドの拡大と歩調を合わせている点については十分に認識しておいた方がよさそうだ。