日本国債に比べ、どれくらいの利回り上乗せが必要か

 イメージできるような例を挙げると、友人に現金を貸しても、返金されない可能性が高い友人と、しっかりと予定通りに返金してくる友人の違いを計るのは難しい。そこで、債券投資では、債券を発行する企業などの信用リスクを客観的に計測するモノサシである「信用格付け」が提供されている。AAA、AA、A、BBB、BB、B格等という具合に、信用度が高い順に、もしくは信用リスクが低い順にレーティングされるのである。

 この信用格付けを行うのが、格付機関であり、その格付けの正確性について複数の機関が競っている。

 債券投資家は、利子や元本の支払いが滞ってしまうような信用リスクの高い債券発行者に対しては、そのリスクに見合った高いリターンを要求するだろう。リスクが高い分だけリターンが高くなければ、資金は集まらないはず。そのため、満期償還までの期間などが同じ債券でも、信用格付けが低い債券の利回りは高くなるのである。

 例えば、わが国で一番債券発行額が多いのは、日本国債である。国内に限って言えば、日本国債は、信用度の高さから、同じ償還期限の債券であっても、一般の会社が発行した債券よりも利回りが低くなる傾向がある。

 信用度が高い発行体は、償還時に倒産して債券元本を返済できなくなる危険性が低い。相対的に債券投資家が安心して購入できるため、低い利回りで資金調達することができるわけだ。

 一方、信用度の低い会社、今にも倒産しそうな会社などが発行した債券は、投資家から敬遠され、その危険度に応じた上乗せ金利(リスクプレミアム)を支払わなければ資金調達できない。

 債券市場では、この上乗せ金利を、基準になる金利と比較して、「信用スプレッド」と呼んでいる。