被告側の弁護士に、『記憶がない』と証言を変えた理由について質問しましたが、

「守秘義務の観点から、個別の質問にはお答えしかねます」

 という回答が返ってきました。

居眠り運転とわき見運転の違いとは?

 伊藤弁護士のコメントにもあるように、『居眠り』と『わき見』では、罪の重さが異なります。

 まず「居眠り」は「過労運転」とみなされ、法律上は、飲酒や薬物使用時の運転と同じく、大変危険な行為として位置付けられています(違反点数25点)。交通法66条には、「過労運転等の禁止」としてこう書かれています。

<何人も、前条第一項に規定する場合(酒気帯び運転)のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両を運転してはならない>

 一方、『わき見運転』は、安全運転義務の違反行為のひとつである「前方不注意」(違反点数は2点)です。

 道路交通法70条にはこう書かれています。

<車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない>

 しかし、今回のようなセンターラインオーバー事故の場合、その原因が、『居眠り』によるものか、それとも『わき見』だったのかを判定することは、非常に難しいのが現実です。