(柳原三佳・ノンフィクション作家)
「事故直後、父はうめき声をあげていたそうです。しかし、車の損壊が激しく、救出には2時間近くかかりました。両足がちぎれ、骨盤が砕け、内臓が破裂し、もがき苦しみながら死に至りました。母は脳に極めて大きなダメージを負い、今も入院中です。事故にあった時の二人の絶望感をどのように表現すればよいのか、私では言葉にできません。さぞ無念であったと思います……」
2023年1月24日、京都地裁には、口惜しさを切々と訴える一人の女性の姿がありました。
埼玉県在住の星野亜季さん(35)。突然の交通事故で父を亡くした遺族として、そして、母が重傷を負った被害者の家族として被告人質問を行ったのです。
この裁判で過失運転致死傷罪に問われているのは、大阪府交野市の運転手・岩瀬徹郎被告(42)です。
センターラインをオーバーしたトラックが軽自動車の正面から
2022年9月21日午後1時半ごろ、岩瀬被告は京都府笠置町の国道163号線でトラック(準中型貨物自動車)を運転中、センターラインをオーバーして対向車線を逆走。正面から走行してきた亜季さんの父・山本隆雄さん(65)と母・倫代さん(65)が乗る軽自動車に衝突したのです。
本件事故については、すでに以下の記事で報じた通りです。
(参考記事)父の足はちぎれ、母は脳挫傷… 遺族が語る「蛇行で逆走の末、正面衝突の加害者が初公判で主張したこと」(柳原三佳、Yahoo!ニュース個人、2023.1.20)
以下の動画は、事故車のすぐ後ろを走っていたドライバーが撮影し、YouTubeにアップしているもので、レスキュー隊による救出がいかに困難を極めたかについて記録されています(亜季さんが動画制作者から転載許可を取られましたので、ここで紹介します。
*下記画面の「YouTubeで見る」をクリックするか、https://youtu.be/atPUEGKwEnsでご覧ください)。