日本は中国と「建設的かつ安定的な関係」の構築を掲げる

 習近平国家主席は台湾について「最大の誠意と努力で平和的な統一を堅持するが、決して武力行使を放棄せず、あらゆる必要な措置をとるという選択肢を残す」と武力行使も辞さない構えを見せる。米空軍航空機動軍団のマイク・ミニハン司令官が「私の直感では米中は2025年に戦うことになる」というメモを残していることが報じられ、緊張は一段と増す。

「米国が考えている唯一の希望は質で量に打ち勝つことだ。そのために半導体の原点に戻ろうとしている」(ミラー氏)。今日あらゆる軍事システムはコンピューターの処理能力に決定的に依存している。米国が持っている唯一の優位性は処理能力の優位性だ。米国は軍事的優位性を保つため、超党派でそれを死守しようとしているとミラー氏は分析する。

 日本は米国の方針に追従するのだろうか。

 英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)の富樫真理子研究員(日本の安全保障・防衛政策担当)は「経済ナショナリズムについて世界貿易機関(WTO)加盟国の機能不全を考えると経済安全保障とWTOの枠組みをどのように調和させるか検討が必要だ。半導体製造装置を経済安全保障のツールにすることは米国との協調を難しくしている」と指摘する。

 岸田文雄首相は中国に「建設的かつ安定的な関係」構築を呼びかける。「日本にとって米国は最も重要な同盟国だが、日本が米国の政策に合わせることができない分野も出てくると思う。日本が最大の貿易相手国である中国を切り離すことは不可能だ」と解説するのだが、日本の海運関係者は筆者に「半導体のデカップリングは急激に進んでいる」と打ち明ける。