2月20日、ウクライナを電撃訪問したアメリカのバイデン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領(写真:ロイター/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

英首相「今こそウクライナへの軍事支援を倍増させる時」

[ロンドン]ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の盟友ボリス・ジョンソン元英首相に突き上げられているリシ・スナク英首相は18日、ミュンヘン安全保障会議で「戦争に勝つためにはウクライナはもっと大砲や装甲車、防空手段を必要としている。今こそ軍事支援を倍増させる時だ。今後数カ月で昨年と同規模の装備を提供する」と演説した。

「日を追うごとにロシア軍は(ウクライナに)さらに大きな痛みと苦しみを与えている。この状況を変えるにはウクライナの勝利しかない。英国は世界で初めてウクライナに戦車を提供し、パイロットと海兵隊員を訓練する国になったばかりだ。長射程の兵器を提供する最初の国になるのもロシアが間違っていることを証明するためだ」

 英紙タイムズは対艦ミサイルのハープーン(射程約240キロメートル)や空中発射巡航ミサイルのストームシャドウ(同約560キロメートル)を含めるべきかどうか話し合いが行われていると報じている。実現すればウクライナ軍がクリミア半島を射程にとらえることができるが、戦争のエスカレートを警戒するバイデン米政権が首を縦に振るかどうか。

 英国政府は6月にロンドンでウクライナ復興会議を主催する。翌7月、リトアニアの首都ビリニュスで開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に先立ち、英国は同盟国やパートナーを集めて、ロシアの将来の侵略からウクライナを守ることを支援する新しい安全保障上の憲章をビリニュスで打ち立てることを促したいという。

2月8日、訪英したゼレンスキー大統領を出迎えたイギリスのスナク首相(写真:ROTA/Camera Press/アフロ)