ロシアがウクライナに軍事侵攻してから2月24日で1年になる。戦闘は継続されたままで、すぐに収束するとは思えない。
米国とドイツは1月25日、ロシア軍に対抗するために米「エイブラムス」戦車31両、独「レオパルト2」戦車14両をウクライナに供与すると発表し(JBpress2月3日「ドイツとロシアは戦争状態にある、こう言い放った独外相の真意と影響」参照)、戦況の好転を図った。
戦車供与については多くのメディアがすでに報じているとおり、実際に戦車がウクライナに渡ったとしても、ロシア軍を撃退して戦争を早期に終結させることはほとんど無理であることが、複数の軍事専門家によって明らかになっている。
現代の地上戦では、戦車は確かに非常に有効な兵器で、戦車の主砲は最も殺傷力が高いとも言われている。
しかしジョー・バイデン大統領がウクライナへの戦車供与を決断した背景を取材すると、国防総省(ペンタゴン)の忠告を無視して発表したことが分かってきた。
まず米軍は現在、ウクライナに供与できるだけの余分なエイブラムス戦車を所有しておらず、製造元のジェネラル・ダイナミクス社が戦車を製造するには何カ月もかかるというのだ。
つまり、バイデン氏は表面的なウクライナ支援を口にすることがまず重要であると判断して、ウクライナ支援を公表したようなのだ。
さらにエイブラムス戦車の操縦は大変難しく、ウクライナ軍の兵士が自在に戦車を操れるようになるまでには多大な時間が必要になる。
米大量破壊兵器等に詳しい軍事評論家のスコット・リッター氏によると、「米エイブラムス戦車の基本的な訓練には22週間が必要」という。
戦車がウクライナに到着しても、翌日から戦場で使えるわけではないのだ。