蘭州ラーメン(写真:筆者撮影、以下同じ)

(加藤勇樹:中国広東省在住コンサルタント)

 中国発祥の料理「蘭州ラーメン」と「沙県小吃」(サケン・シャオチー)をご存じでしょうか?

 中国西北部の「蘭州ラーメン」と、福建省の軽食「沙県小吃」は、中国のどこにでもある個人経営の食堂です。どちらも蘭州、沙県という地方の料理から中国全土、さらには日本などの国外に大きく広まったことが特徴ですが、これにはちょっとした秘密があります。

 この2つの“庶民の味”がなぜ広まったのか、そして現在直面している課題とは何かを中国からお伝えします。

中国では店舗数がダントツの1位と2位

 蘭州ラーメンと沙県小吃は近年日本にも店舗ができて、ひそかなブームになっているようです(激アツ「蘭州ラーメン」ブーム――でも東京で本格店が増えない「ただ1つの理由」、文春オンライン、2019/07/30、https://bunshun.jp/articles/-/13047)。

 一方本場中国の飲食店店舗数ランキングでは、「沙県小吃」が店舗数約8万8000で圧倒的な1位、「蘭州拉麵」が店舗数約3万7000で2位です(「全国各餐饮店数量排行榜」、https://data.gotohui.com/list/178728.html)。3位が「蜜雪冰城」(約2万2000)、この数年話題となっているラッキンコーヒーは約7200で8位と、他を寄せ付けない多さです。

 ただ、「蘭州ラーメン」と「沙県小吃」は単一のチェーン店ではなく、個人経営店や小さなグループがその名前を名乗っている、という点が、他のチェーン店と大きな違いです。

沙県小吃の料理例