中国国内消費の最大イベントである「双11」が、記録的な売上を達成した。一方で、中国の消費に関しては新しい動きがいくつか見られる。2020年における中国消費の変化を、香港在住の加藤勇樹氏が解説する。(JBpress)
(加藤勇樹:香港企業Find Asia 企業コンサルタント)
前回お伝えしたように(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62813)、中国では国内景気が回復したという認識が大きく広がりつつあります。加えて中国国内消費の最大イベントである「双11」が、記録的な売上を達成しました。
一方で、今年は消費に関して新しい動きがいくつか見られます。2020年の中国消費トレンドをご紹介しましょう。
文化として根付いた「独身の日」
以前、中国では11月11日を「光棍節(独身の日)」と呼び、独身者がパーティを開いたり贈り物をしたりしていました。その意味合いが変わった転換点が2009年です。
2009年11月11日、アリババグループが中心となって始めたのが「双11」(ダブルイレブン)というイベントです。「独身者の生活を応援する」という触れ込みで消費の喚起を狙い、ECプラットフォームが大々的なバーゲンセールやプロモーションを実施しました。その後それが恒例化し、中国消費市場の成長を反映して急激な拡大を遂げて、いまや現在世界最大規模のECイベントとなっています。双11はアリババグループ傘下の天猫(TMall)を中心にさまざまなECプラットフォームやEC企業が参加しています。
2009年には売り上げが約8億円という規模でスタートしましたが、その後年々金額が上昇し、2020年には約7兆9000億円に達しました。日本の場合、楽天のEC部門の年間売り上げが2019年で約4兆円ですから、それを上回る金額を1日で売り上げるようになっている、ということです。