アリババ一強から変化の兆しが

 双11の主役をこれまで務めてきたのはアリババ傘下の天猫ですが、中国EC2番手である京東(JD)や、Laoxを買収した蘇寧電器(SUNING)など多くの企業が参加しています。

 従来双11の売り上げは天猫、京東、蘇寧の順でしたが、2019年から拼多多(Pinduoduo)が3位に食い込んできました。

 拼多多はTencentグループの出資を受けて2015年に創業しました。日本ではなじみの少ない拼多多ですが、中国では有力なECプラットフォームとしてすでに認知されています。2020年10月には1日当たりの受注件数が1億件を突破したそうです(https://stories.pinduoduo-global.com/articles/pinduoduos-peak-daily-orders-surpass-100-million-driven-by-agricultural-demand)。

 拼多多が主戦場とするのは、従来のEC戦略の中心地である上海や北京などの1線都市ではなく、3線都市と呼ばれる人口や所得が中規模の都市です。また個人への販売だけでなく団体購入を通じて多くの消費者を確保し、割引プロモーションを展開することで、地方の主婦層や年齢の高い消費者層を開拓してきました。

 今年の双11直後、拼多多の株価は8%上昇しました。従来とは異なる切り口による消費者層の開拓が、中国でも期待されている表れと言えるのではないでしょうか。

国潮――中国文化を現代にあわせてアレンジ

 2020年、衣食住の基本消費や旅行などのレジャー消費が減少したのに対し、医薬品や衛生用品の消費が拡大しました。この分野の双11における天猫の売り上げは前年度比7倍もの成長を見せています。しかもこの分野だけで購入者一人当たりの金額は約6300元(約10万円)でした。中国都市部での大卒初任給が6500元前後であることを考えると、この金額の大きさがわかるのではないでしょうか。

 男性の美容・衛生用品の消費額も大きく伸びており、同分野の購入ユーザーの約3割は男性でした。近年では李佳奇氏をはじめとする男性の俳優による、男性向けの美容・衛生用品のPRも活発です。

 最近の消費傾向として大きな注目は「国潮」、つまり中国文化の現代へのアレンジです。伝統的な中国文化を取り入れたファッションや、地方の特産物を若者向けにアピールするといったことは、2000年代から始まっていました。最近ではこれに加え、中国発ブランドの躍進や、伝統文化を題材にした映画の成功などにより、国潮は一層の浸透が進んでいます。