多数のドローンで空中に作られた図形。広東省広州市で7月に開かれた屋外イベントにて。大規模な屋外イベントが開催されるなど、日常が戻りつつある(写真は筆者提供)

中国のイノベーション企業は今年前半の新型コロナウイルスショックでどのような影響を受けたか。中国イノベーションの中心といえる広東省の深圳市や広州市の企業に直接インタビューした。(JBpress)

(加藤勇樹:香港企業Find Asia 企業コンサルタント)

 日本ではコロナウイルスの感染が、まだまだ予断を許さない状況にあります。その一方で中国国内の感染者は報道によると減少傾向にあり、各種経済活動も徐々に平常に戻りつつあります。

 中国イノベーションの中心ともいえる広東省の深圳市や広州市においても各企業は新型コロナウイルスショックを受け、現在もその影響が尾を引いています。ただ一方で、その遅れを取り戻す動きも見られます。

 イノベーション企業の経営者、イノベーションを支援する投資家、イノベーションの場を提供する産業パークにインタビューし、現在の中国のリアルな状況をお伝えします。

豊富な調達先のおかげで息を吹き返した

 深圳市には、多くの電子製品の製造企業が集中しています。各種電子部品の集積地となったことで、部品の調達がしやすく、設計から製造までが短期間で行えることが一つの理由です。

 イノベーション企業の代表例として、M5Stack社(https://m5stack.com/)代表の赖景明(Jimmy Lai)氏にお話をうかがいました。同社は、マイコンやインタフェースを内蔵した小型モジュールの製造開発会社で、日本国内でも2年ほど前から同社の製品が販売されています。

M5Stack社のマイコンモジュールM5Stack。Arduino互換で、Wi-Fi、Bluetooth、液晶ディスプレイ、MicroSDカードスロットなどを備える