(加藤勇樹:香港企業Find Asia 企業コンサルタント、
鈴木崇弘:城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科長・特任教授)

「まったく新しい場所に、知識産業を集約した都市を、2カ国共同で作る」という類を見ないプロジェクトが中国で始まって10年の節目を迎えた。どのようなプロジェクトなのか、当初の構想どおりに進捗しているのか、開発真っ最中の現地からレポートする。(JBpress)

 プロジェクトの名前は「中新広州知識城(China Singapore Knowledge City、http://www.ssgkc.com.cn/)」(以下、知識城)といい、シンガポールと中国の両国によって共同開発が進められています。その建設開始から10周年を祝う記念行事が、2020年6月30日に中国広東省広州市で開催されました。

知識城を特徴付ける3つの特色

 中国ではさまざまな場所で都市開発が進められていますが、知識城は次の3点で他と大きく異なっています。

・既存の都市の拡張ではなく、まったく新しい土地に都市を作る
・知識産業を集約しようとしている
・中国とシンガポールという2国による共同プロジェクトである

 また、知識城はスマートシティ(デジタル技術を利用して効率的に管理する都市)、コンパクトシティ(職場と住居が近接した都市)、ガーデンシティ(都市内を緑化して自然と調和させた都市)を目指して作られているという特徴も備えています。

 このユニークな都市開発の内容を、現地のレポートも交えて以下でご紹介します。

 知識城があるのは、中国華南地区、広東省広州市の郊外です。

知識城は広州市北東の郊外にある(Googleマップ)
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 知識城のプロジェクトは、中国がシンガポールに話を持ち掛けて始まりました。2010年に計画が立ち上がり、今年(2020年)でちょうど10年。計画の第一段階は2035年に終了する予定です。

開発が始まる前の2009年(上)と2019年(下)の知識城地区(提供:中新広州知識城投資開発有限公司)

 現在の総面積は178km2で人口は6万人。2035年には居住人口65万人、労働人口27万人という規模を目指しています。