深圳市で開催された「人材の日」を祝うライトショー(2020年11月1日、筆者提供)

中国国内での個人の働き方が大きな転換点を迎えており、職業の「掛け持ち」に焦点が当たり始めている。その形態はさらに「フレキシブル勤務」と「マルチキャリア」の2つに分類できる。中国における働き方の最新事情を、香港在住の加藤勇樹氏が解説する。(JBpress)

(加藤勇樹:香港企業Find Asia 企業コンサルタント)

 2020年は世界各国で経済成長に減速がかかっていますが、中国国内ではすでに経済の回復傾向が報じられました。2020年10月の中国国家統計局の四半期別GDP統計発表によると、2019年の同時期比較で0.7%増加、2020年第二期統計と比較すると4.9%増加、とされています(「中国経済、第3四半期は4.9%拡大 新型ウイルスからの回復維持」BBC NEWS Japan)。

 このように、中国経済全体は好転していますが、中国国内での個人の働き方は大きな転換点を迎えています。以下では、大学新卒生の就職、働き方に対する年代ごとの意識差、職業掛け持ちの多様化(フレキシブル勤務、マルチキャリア)、という3点について、紹介します。

大学卒業と同時に失業?

 新型コロナウイルスの影響を最も大きく受けたのが大学生でした。

 より良い就職先を求めて、大学の学位を求めることは日本だけでなく、中国でも同様ですが、中国大学生の就職戦争は、近年ますます加熱していました。中国の大学および大学専科(大専)を卒業した人数は2000年から2010年にかけて急増し、2020年には900万人の大台間近に迫りました(図1)。このように増え続ける学生の就職先をどうしたらいいか、という問題は2010年ごろから議論がさかんに行われていました。

図1 中国国内の大学および大学専科の卒業者数(中国国家統計局および関連情報から筆者作成)