(加藤勇樹:中国広東省在住コンサルタント)
所有するのではなく、料金を払って時間単位で利用するシェアエコノミー(共享経済)は、中国で2010年代後半から急速に普及し、すでに生活の一部となっています。
しかし最近はシェアサイクルやシェアモバイルバッテリーの利用料金が急上昇しています。というのも、事業が赤字続きで、企業が利益をあげる見通しがなかなか立たないためです。ビジネスモデルの再検討に迫られている中国シェアエコノミービジネスの現状をお伝えします。
自転車とバッテリーを中心に拡大した中国シェアエコノミー
シェアエコノミーを一言でいえば、「個人が所有するのではなく、社会全体でサービスや資源を有効に共有する」ことでしょう。中国では、2010年代後半からさまざまなシェアエコノミーが生まれました。モバイルペイメントの浸透、イノベーションへの投資熱、新しいサービスを求める旺盛な消費需要、などに支えられた結果です。
「中国共享经济发展报告(2022)」(中国シェアエコノミー経済報告書2022、http://www.sic.gov.cn/News/557/11278.htm)によると、シェアエコノミー全体の経済規模は拡大しており、2021年は約3兆7000億元で、2020年から9%増加しました。「ライフサービス」「プロダクトシェアリング」「技能シェア」など、どのようなものをシェアするか、という分野の多様化も広がっています(次の図)。