(加藤勇樹:香港企業Find Asia 企業コンサルタント)
「16歳から24歳の人材の2割が失業中」。中国では急速な“就職難”が進んでいます。
2022年7月、中国国家統計局の調査によると、中国都市部の失業率は5.5%でした(「国家统计局:6月份全国城镇调查失业率为5.0%」、http://www.ce.cn/xwzx/gnsz/gdxw/202107/15/t20210715_36720777.shtml)。2022年4月の6.1%から多少改善したものの、依然として高い失業率が続いています。
現状の就職事情を特に不安に感じているのが、今年1000万人を超えるとされる大卒者です。新卒学生たちの間では、「大学生毕业就是失业」(大学を卒業したらそのまま失業)という言葉が広がっているようです。
これまで多くの新卒学生が就職先として目指していたテック企業も、採用数減や内定取り消しが続いています。このような状況から、解雇されにくく、比較的安定している就職先として、公務員を志望する人が増えています。次のグラフは国家公務員試験の受験者数の推移ですが、実際の採用人数から考えると、受験者数に対する採用数の倍率はおよそ50倍となります。
国による就職問題への対策も進められています。2022年5月には、「关于进一步做好高校毕业生等青年就业创业工作的通知」(高等教育人材に対する一層の就職および起業支援)が打ち出され、新卒者採用1人につき1000元の支援金や、2年間の社会保障費の全額免除などが実施されています。ただ、効果が出るかどうかはもう少し時間が経たないとわかりません。