「フレキシブル勤務」、実際の仕事内容は

 就職が難しくなった結果、広がってきたのが「灵活就业」(フレキシブル勤務)です。「2022年中国灵活用工行业市场调研分析报告」(2022年中国フレキシブル勤務の市場分析報告、https://www.iimedia.cn/c400/84058.html)によると、2021年の新卒生の16%が卒業後のキャリアとしてフレキシブル勤務を選択しました。

 フレキシブル勤務は、本業を持ちながらの副業も行う、会社に籍を置きながら別の仕事をする、という形態もあります。その一方で、特定の企業に所属せず、単発で短時間の仕事を請け負い、働く時間を自分で決める、いわゆる「ギグワーカー」という就業形態も増えています。また、フリーランサーや起業初期段階の起業家などを含むこともあります。いわば、多様な労働形態を指す言葉として使われています。

 このフレキシブル勤務の動向については、以前にもお伝えしました。
「中国の若者に広がる寝そべり主義と「柔軟就業」の渦」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65940

PCR検査所の運営もフレキシブル勤務従事者によって支えられている(筆者撮影)

 では、実際の仕事内容はどのようなものが多いか。それを示したのが次のグラフです。

フレキシブル勤務者の主な職種(複数回答)。「2022年中国灵活用工行业市场调研分析报告」を基に筆者作成

 やはり、宅配(デリバリー)要員やシェアカーのドライバーが多数を占めています。一方で、eコマース従事者やライブストリーマーなど、ネット産業関連も目立つのが、現在の中国の特徴と言えるでしょう。この職種内容を見ると、フレキシブル勤務を行いながらスキルを身に付け、安定した職種のキャリアにつなげていくのは難しいのがわかります。

 また、報酬や待遇の改善交渉が社員以上に難しいのも明らかです。つまり、フレキシブル勤務者の多くは、不安定な就労形態を続けていくことになる可能性があります。

徐々に社会的認知が進むフリーランサー

 同じ「フレキシブル勤務」であっても、「自由职业者」(自由職業者、フリーランサー)は少し事情が違い、知識や能力が発揮される働き方として次第に認められてきています。たとえば、デジタルコンテンツ作成、手工芸品を製造販売、ライティングなどの「クリエイター」と呼ばれる人々です。