蘭州ラーメンには、大企業主体のチェーン店「馬記永」「張拉拉」「陳香貴」などが続々と参入してきました。陳香貴はWeChatを運営するテンセントも出資しています。これらは多くがショッピングモールなど人の集まる立地に出店しています。また、客単価は既存の蘭州ラーメンの2~3倍近くに設定して、より高級な路線を狙っています。

 比較的高収入の都市部の顧客は、このような大手チェーン店に魅力を感じ、個人経営店から足が遠のいていくかもしれません。

高級ブランド店などと同じビルに入居する馬記永の店舗。今までの蘭州ラーメンが持つ大衆的な印象とは異なっている

 一方の沙県小吃は、サラダやパンを提供するような、同じ軽食分野の店舗と競合するようになりました。“街の食堂”、“庶民の味”という定着したイメージが、かえって若者を遠ざけているようです。

 沙県小吃の個人店舗の経営者たちが中心となって立ち上げた「淳百味グループ」は、年間売上が4億元という飲食グループに成長しています。現在は、おしゃれな店舗としての生まれ変わりを目指し、フランチャイズチェーン戦略に乗り出しています。

 ただ、軽食であることが特徴である以上、高級化するのは難しい面もあるのではないかと筆者は見ています。

“下町の食堂”のイメージからの脱却を図る淳百味の店舗(同社Webサイトhttps://www.chunbaiwei.com/cooperationより)

 顧客が飲食店に求めるものが、時代とともに変わっていくのは避けられないことでしょう。中国の大衆食堂として根付いた蘭州ラーメンと沙県小吃ですが、今後どのような店舗運営をしていくのか、変化への対応が迫られているようです。