中国河南省での合同結婚式イベント(筆者友人より提供)

(加藤勇樹:中国広東省在住コンサルタント)

 中国の人口が増加から減少に転じつつあることは、日本でもだいぶ話題になりましたが、もっと深刻な状況なのが結婚する人の数(婚姻件数)です。

 この8年のうちに4割も減ってしまったのです。最新の中国の結婚/婚活事情に関して、2回に分け、減少の実態とその理由、婚活パーティ、男女比のアンバランスなどについてご紹介します。

 今年(2022年)の中国の国慶節(建国記念日に相当)は、10月1日から7日まででした。この期間には旅行や各種イベントで盛り上がりますが、もう一つ、連休にあわせた結婚式のピークもあります。今年は15万組が結婚式を挙げたと見られています(「15.63万对新人在国庆假期结婚,被婚恋产业链安排的明明白白」、2022年10月3日、https://finance.ifeng.com/c/8JoY2fCUVr6)。

あまりに速い中国の婚姻件数減少

 2022年の数字は15万組でしたが、驚くことに2020年の同時期と比べ4分の1に激減しているのです。中国の結婚関連産業の大手「婚礼纪」(https://www.hunliji.com/jiri)によると、2020年は60万組以上が結婚式を挙げていました(「婚礼纪发布国庆假期结婚数据,8天内超60万对新人举办婚礼」、2020年10月11日、https://biz.tom.com/syzx/202010/1145251906.html)。

 国慶節の休暇期間や、伝統的な吉日は毎年異なることから、2020年と2022年の数字を直接比べない方がいいかもしれません。新型コロナウイルス蔓延による影響もあるでしょう。しかし中国で暮らす筆者としては、中国で結婚する人が減っていることを肌身に感じています。

 中国の婚姻件数は、8年前の2013年で年間約1350万組でした。ところが2021年には約760万組と、4割以上減少しています(「民政部:2021年结婚人数764.3万对」、2022年08月30日、https://www.chinanews.com.cn/cj/2022/08-30/9840281.shtml)。

 日本の状況も調べてみました。日本で婚姻件数が最近最も多かったのは1972年で、約110万組でした(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/konin06/konin06-1.html)。一方、2020年は52万5490組で、とうとう1972年の半分を割り込みました。

 ただ、日本の場合、婚姻件数が半数以下になるまでに50年近くかかっています。2世代近くの時間をかけて進んだわけです。ところが中国ではわずか8年のうちに半数近くに減っているのです。あまりにも急な現象といえます。