新婦両親への“結納金”が大きな負担に
婚姻件数が減少している要因の一つと考えられるのが、経済的なものです。
それが「彩礼」です。日本で言えば、結納金に当たります。彩礼は結婚式の費用ではなく、新郎が新婦の両親に贈るものです。地域ごとに内容は異なりますが、「不動産」「車」「現金」などの組み合わせで求められることもあります。「彩礼が高すぎて準備できない」「結婚に求められる金銭的な条件が厳しすぎる」などの声を、実際に筆者の周囲でよく耳にします。
彩礼というならわしができたのは割と最近のことです。1970年代は結婚の際に新郎に求められたのが「時計、ミシン、自転車」、80年代は「冷蔵庫、テレビ、洗濯機」などでしたが、これは新婚夫婦に必要な生活用品でした。
それが現状のようになったのは、この10数年の変化が大きいようです。2000年代以降に「財産」としての彩礼が本格化したのは、結婚生活がより良い生活を生むための結びつきから、財産や金銭的な生活を保証するための結びつきに変化した、ということかもしれません。
では、実際に彩礼にいくらぐらいかかるのでしょうか。地域ごとの平均値を次のグラフに示します。
グラフで最も金額が多いのが浙江省で約18万元(約360万円)です。そのあと江西省、貴州省などの「地方」が続きます。一方上海や広東省などの「都市部」は金額が少ないことが見て取れます。
彩礼が最も高いのは江西省の東部と言われていて、60万元(約1200万円)が求められることもあるそうです。江西省の平均年収は約6万元なので、その10倍以上の金額だということです。この地域では彩礼金額を3万元に制限するという通知が出たほどです(「彩礼不超3万!一地官方发文」、https://www.163.com/dy/article/H87NE6OH0550FW1B.html)。
都市部より平均所得が低い地方のほうが、彩礼金額が高い傾向があるのはなぜでしょうか。考えられる一つの理由が、その地域での結婚適齢期の女性の少なさです。結婚を望む男性が多いことが、彩礼金額というハードルを上げているのかもしれません。
このような「男女比」の問題は後編でもう少し詳しく触れます。また、このように結婚へのハードルが上がっている環境のなかで、人々はどのように婚活を行っているか、婚活イベントに実際に参加した体験談とともに後編でお伝えします。
(10月23日公開予定)