(加藤勇樹:香港企業Find Asia 企業コンサルタント)

 2021年5月、日本の国勢調査に相当する中国の「人口普查」結果が発表されました。中国の国勢調査については、例年に増して世界で注目を集めており、みなさんもご覧になったのではないでしょうか(例えば「中国国勢調査総人口は約14億1000万 高齢化が加速」、https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210511/k10013024501000.html)。

 ただ、全体の総数だけではなく、もう少し細かい数字を見ることで、わかることもあります。人口増減の地域差、10年間での出生数や出生率の変化、少子化が進む要因として考えられることなどを紹介します。

 なお今回の国勢調査に関わる数字は、主に中国国家統計局の「第七次全国人口普查主要数据情况」(http://www.stats.gov.cn/tjsj/zxfb/202105/t20210510_1817176.html)を参考にしています。

人口増の地域と人口減の地域

 今回の国勢調査によると、2020年の中国の人口は14億1000万人。10年前(2010年)と比べて約7000万人の増加、増加率は約5.4%でした。都市部(「城鎮」と呼ぶ)が9億人(全体の64%)で2億4000万人増、農村部が5億1000万人(全体の36%)で1億6000万人減と、農村部から都市部への移動が非常に多いことがわかります。

 人口移動を省ごとに見て、特に増加、減少が大きかったところを次の図に示します。

今回人口の増減が大きかった上位3省。大きく減少したのが赤色(黒龍江省、吉林省、湖南省)、大きく増加したのが黒色(江蘇省、浙江省、広東省)(筆者作成)

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 中国最北部に位置する黒竜江省は2010年からの10年間で、560万人以上の人口が減少しました。隣の吉林省は約280万人の減少です。