メッセンジャーアプリWeChatの開発が始まった場所に立つ記念碑(2018年筆者撮影)

中国テクノロジー企業の急成長を支えてきた中心的な人材は、現在多くが30代半ばになっている。これらの人々が直面する「35歳の転機」とは何か。(JBpress)

 今まで花形といわれてきた中国のテクノロジー企業(テック企業)において、「35歳の転機」という現象が起こりつつあります。

 中国のテクノロジー企業では猛烈な働き方をする人が少なくありません。従業員の過労死や過酷な勤務体系が非難されることもあります。

「朝9時から夜9時で週6日勤務、最後はICU(集中治療室)送り」を意味する「996.ICU」が問題視されていることは、以前の記事でお伝えしました。
中国で急拡大する「職業掛け持ち」の実態とは
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62813

 そのほか、長時間労働が常態化したテクノロジー企業の労働慣行に関する記事なども見受けられます。
中国EC「拼多多」、社員死亡の悲劇に高まる批判
https://toyokeizai.net/articles/-/403502

テンセントなどのテクノロジー企業が集中する、深圳南山科技園にて。夜10時だが、退勤する人で人通りが多い(筆者撮影)

 とはいうものの、他の業界と比べて初任給が2倍以上というような恵まれた報酬、個人の成長を実現できる環境などによって、多くの優秀な人材が引き寄せられてきました。そして、そのような人たちが、デジタライゼーションやイノベーションを支えてきたのは間違いありません。

 中国テクノロジーの根幹ともいえるデジタル産業が勃興したのは、2010年代前半からです。現在の35歳はその成長期を支えてきた中心的な人材です。その人々にどのような転機が迫っているのでしょうか。