食堂に置かれたQRコード。下に表示されている4種類または5種類のサービスで決済(モバイルペイメント)できる

(加藤勇樹:香港企業Find Asia 企業コンサルタント)

 中国ではスマホなどを使ったデジタル決済が非常に普及していることはご存じだと思います。また、その決済サービス(モバイルペイメント)を提供しているアリババ(支付宝、Alipay)とテンセント(微信支付、WeChat Pay)の名前もよく知られているでしょう。

 これまで、この2社が決済サービスのほとんどのシェアを握っていたのですが、2021年になって、新たな動きが出てきました。有力な2社が参入してきたのです。

 それが、米国のオンライン決済サービス企業PayPalと、動画共有サービスTikTokを提供しているバイトダンス(ByteDance)です。この2社がどのようなことを狙っているのか、以下で解説しましょう。

 中国で決済サービスを運用するには、「第三者決済」のライセンスが必要です。資本金の規模や外国資本比率などの基本条件が、2010年に決められ、これが新規参入するときの障壁となっていました。

 第三者決済市場は、2015年から2020年までの5年間で約20倍という大きな成長を遂げ、2020年(概算値)では、249兆元(約4000兆円)が利用されました。

第三者決済の決済額の推移(智研咨詢などの報告資料より筆者作成)
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 そして、そのほとんどがアリババとテンセントによって提供されるサービスを利用しているのです。

第三者取引決済の取引額シェア(2020年第1四半期、華泰証券などの情報を基に筆者作成)