警備員は中高年でも採用されやすい(写真:YANCHINGNOW/イメージマート)

「あれ、こんなところでおじさんが働いてる……」

 近年、非正規労働の現場でしばしば「おじさん」を見かける。しかも、いわゆるホワイトカラーの会社員が、派遣やアルバイトをしているケースが目につくのだ。45歳定年制、ジョブ型雇用、そしてコロナ──。中高年男性を取り巻く雇用状況が厳しさを増す中、副業を始めるおじさんたちの、たくましくもどこか悲壮感の漂う姿をリポートする。

(若月 澪子:フリーライター)

リモートワークがつらいおじさんたち

 東京圏限定だが、中高年男性、中でも大卒の中高年男性は、「過去1年以内に新しい友人や親しい知人をつくったか」という調査で、「まったくない」「ほとんどない」という人の割合が60%以上に上ることがわかっている(日本総合研究所、2019年3月に実施した以下の調査の図47)。

東京圏で働く高学歴中高年男性の意識と生活実態に関するアンケート調査結果(報告)(https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/pdf/190829_tokyoken2.pdf)

 さらに、「家と職場を除いた場所で、定期的に人と交流するために行く場所がない」という人はおよそ7割に上るという(同上の調査)。

 上記の調査はコロナ前に実施されたものなので、コロナ禍に入ってさらに孤独を深めているおじさんは多いと考えられる。

 中高年に限らず、リモートワークが広がって人とのコミュニケーションが減少し、気持ちがふさいでしまう人は増えている。リモートワークをしながらも、オフィスに行きたくてしょうがないという人も少なくない。

 そんな中、自宅のパソコンにかじりつくのに飽き飽きし、交流を求めて副業バイトを始めてしまう中高年男性がけっこういる。

 不動産会社に勤める関西在住のOさん(51)もその一人だ。

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