9月9日、ウクライナを訪問したポーランドのモラウィエツキ首相と握手を交わすゼレンスキー大統領(写真:AP/アフロ)

(在ロンドン国際ジャーナリスト・木村正人)

[ロンドン発]「この24時間、ウクライナ軍は北東部ハルキウ州で大きな戦果を上げ続けている。ロシア軍はこの地域から部隊を撤退させたようだが、戦略的に重要な都市であるクピャンスクとイジューム周辺では戦闘が継続している」

 英国の国防情報参謀部は9月11日のツイートでウクライナ戦争の戦況をこう報告した。

ウクライナ軍の奇襲に逃走するロシア軍

 英国防情報参謀部(10日時点)によると、ウクライナ軍は9月6日、ハルキウ州南部で作戦を開始した。狭い前線でロシア軍が占領していた地域に最大50キロメートル攻め入った。ロシア軍は奇襲を受け、それほど守りを固めていなかった町をウクライナ軍に奪還されたり、包囲されたりしている。

 イジューム周辺のロシア軍はますます孤立していく可能性が高い。ウクライナ軍は東部ドンバスの前線への補給路に位置するクピャンスクの町を脅かしている。クピャンスクがウクライナ軍によって奪還されればロシア軍にとって大打撃となる。南部ヘルソン州でもウクライナ軍の作戦は続いており、ロシア軍の防衛線は北と南の両方で圧力にさらされている。

 米シンクタンク、戦争研究所(ISW)は10日深夜(米東部標準時)の時点で「ハルキウ州におけるウクライナ軍の反攻はロシア軍を追い詰め、ロシア軍が占領する東部ドンバスの北軸を崩壊させつつある。ロシア軍は統制がとれないまま撤退しており、イジューム周辺で包囲されるのを避けるため急いで逃走している」と分析した。

ハルキウとイジューム、クピャンスクの位置関係