しかし、アナログ&パワー半導体の供給量を飛躍的に拡大することができない事情がある。

アナログ&パワー半導体の多くは8インチ工場で製造

 図5に、世界全体における12インチウエハ換算のテクノロジー・ノード別の半導体生産キャパシティ(万枚/月)を示す。100nmよりレガシーなキャパシティのほとんどが8インチの半導体工場である。一方、90nm以降のキャパシティは全て12インチの半導体工場である。

図5 12インチ換算のTechnology・Node別の生産Capacity(万枚/月)
出所:グローバルネット(株)『世界半導体工場年鑑』およびSEMI Wafer World Forecastのデータを基に筆者作成

 このように、100nm付近に、8インチと12インチの境界線がある。その理由は、2000年頃に、半導体の微細化が130nm以降になるときに、シリコンウエハの直径が8インチから12インチへ大口径化した。その後、微細化が進むにつれて、12インチ用の製造装置が、その微細性に対応するように進歩してきたからだ。

 したがって、8インチの微細性は100nm付近で止まったままだが、12インチでは、2020年からTSMCが最先端の5nmの半導体を量産している。

 そして、現在、半導体不足となっているレガシーなアナログ&パワー半導体の多くが8インチの半導体工場で生産されている。

 しかし、このレガシーなアナログ&パワー半導体の生産キャパシティを増大させることは難しい。その理由が2つある。

レガシーな半導体の生産キャパシティを増やせない理由

 まず、オランダASML、米アプライドマテリアルズ、米ラムリサーチ、日本の東京エレクトロンなどの大手の製造装置メーカーは、8インチ用の製造装置をつくりたがらない。これらの製造装置メーカーは、「8インチ用ではなく12インチ用の装置を買ってくれ」と主張するからである。

 その結果、製造装置市場では、8インチ用の装置が極端な品薄となっており、中古装置が市場に出ると、あっという間に高値で売れてしまう事態が起きている。したがって、レガシーなアナログ&パワー半導体の需要が大きいからと言って、8インチの半導体工場を新増設することが困難になっているのだ。