(湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長)

 半導体不足が解消する兆しが一向に見えない。それどころか、より深刻化していると思われる。前回の記事で、トヨタ自動車などクルマメーカーが減産を余儀なくされていることを報じた(『トヨタ・ダイハツ生産停止の裏側、世界のクルマメーカー受難の時代』)。しかし、クルマメーカーの減産はその後も続いている。

 加えて、日立製作所、パナソニック、三菱電機、シャープ、ソニーなど、電機メーカー各社が、半導体不足などの影響で、洗濯機、炊飯器、エアコン、テレビなどの家電製品をつくれない状態にあることが報じられた(日本経済新聞2022年5月31日)。

 本稿では、このような半導体不足を解消するために、世界各国の半導体メーカーが増産していること、その生産能力を増強するために各種の製造装置メーカーも装置を増産していることを詳述する。一方で、各種の製造装置に搭載される半導体が不足しており、今後思うように半導体の生産能力が向上できない問題が起きていることも指摘する。要するに、半導体産業においては、半導体不足で各種製造装置が生産できないジレンマに陥っているのである。

半導体も製造装置も、増産に次ぐ増産

 世界各国の半導体メーカーは、長引く半導体不足を解消すべく、増産に次ぐ増産を行っている。また、半導体メーカーが生産能力を増強するため、各種の製造装置メーカーも、これまた増産を行っている(図1)。

図1 過去最高を更新する世界半導体市場と製造装置市場
出所:WSTS、IC Insights、SEMIのデータを基に筆者作成https://jbpress.ismedia.jp/articles/gallery/70397

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