本稿ではその根拠を論じたい。結論を先取りすると、以下の理由により、レガシーなアナログ&パワー半導体が今後慢性的に不足する可能性が高いと推測している。
・クルマの自動運転化およびEV化が進むとともに必要となる半導体が飛躍的に多くなる。
・その半導体の多くがレガシーなアナログ&パワー半導体である。
・それらレガシーなアナログ&パワー半導体を生産しているのは8インチの工場である。
・8インチの製造装置の確保が難しいため、8インチの半導体工場の新増設が困難な状態である。
要するに、自動運転車には高度な人工知能(AI)を動作させるための最先端の半導体が必要なことはもちろんであるが、多数必要となるレガシーなアナログ&パワー半導体がアキレス腱となってクルマ生産に支障をきたしており、この問題を解決するのは容易なことではない。クルマ産業は100年に一度と言われるCASE(Connected、Autonomous/Automated、Shared、Electric)の大変革期を迎えているが、それは半導体不足に悩まされる受難の時代でもあるということだ。
コロナ禍と半導体不足で低迷するクルマ産業
2020年に世界中で感染が拡大したコロナにより、クルマの生産台数が低迷している(図1)。コロナ前の2019年に9218万台だった世界のクルマ生産台数は、2020年に1456万台少ない7762万台になり、2021年はさらに120万台少ない7642万台になった模様である。
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