ウクライナで戦況を変える力はないが・・・
今日のウクライナでは、プーチン氏はもうワグネルに否認能力の提供を期待することはできない。
同氏が評価するもう一つの傭兵の利点――どうしてうちの人が犠牲になったのかと不思議がるかもしれない家族がいる正規軍兵士の死者を減らすこと――からも、大した成果は得られそうにない。
ロシアはすでに約19万人の兵士をウクライナに配備しているため、ワグネルの傭兵を数千人送り込んだところで戦争の結果を変えられる公算は小さい。
だが、傭兵は戦争の行為をこれまで以上に残忍にするかもしれない。
ウクライナに送る傭兵を集めるロシアの採用担当者は、経歴に不審な点があることや経験不足を理由にかつて採用を見送った人々に声をかけている。
「だれ彼なしに連れていっている」
傭兵の取材に長年携わっているロシア人ジャーナリスト、イリヤ・ロジェストベンスキー氏はこう語る。
GRUと深い関係
ワグネル・グループという名前は、ヒトラーが好んだ作曲家ワーグナーにちなむと言われる。
創設者のドミトリー・ウトキン氏が、ワーグナーの名前を自分のコールサイン(呼出符号)にしていたのだ。
ウトキン氏はロシア軍参謀本部情報局(GRU)の出身で、2度のチェチェン戦争に参加し、後にはエリート特殊任務部隊スペツナズで指揮を執った。
ワグネルとロシア軍とのつながりはそれだけではない。
ロシア領内にあるワグネルの訓練キャンプはGRUの施設の近くにある。リビア、シリア、ベネズエラでは、ロシアの軍用機がワグネルの戦闘員を国内外へと輸送した。
リビアでは、ロシア軍がワグネルに十分な物資供給も行ったと報道されている。
リビアで回収されたワグネルの文書からは、戦車や最新式レーダー、数百丁のカラシニコフ銃などが並んだ物品購入リストが見つかっている。
そうした装備の中には、恐らくロシア軍しか提供できないものも含まれていた。