ウクライナ東部に向かう傭兵

 傭兵はむしろ、ウクライナの防衛線突破を目指す分離主義者に加勢するべく、すでにロシア軍に占領されていたドネツクやルガンスクの一部地域に向かっていると報じられている。

 英国の国防省は3月28日、ワグネルがリーダー格の要員を含む1000人以上の傭兵をウクライナ東部に派遣する見通しだと発表した。

 今のところ、ウクライナに向かうのは同社の中核部隊ではないようだ。

「彼らは昔ながらのインフラを使っている。軍の基地とか、戦闘員募集のチャンネルとかだ」

 ワグネルの情報を幅広く報じてきたロシア人ジャーナリスト、イリヤ・バラバノフ氏はこう指摘する。「でも、それは私たちが呼び慣れている『ワグネル』ではない」。

 ウクライナの軍事諜報機関筋はこの傭兵たちについて、ワグネルから生まれ変わった新しい団体「リーガ(リーグを意味するロシア語)」だと話している。

 月給は20万ルーブル(2367ドル)を超えており、正規軍兵士が一般に得ている報酬の数倍に当たる。

シリアなどの外国人戦闘員も徴用

 ロシアは、かつてワグネルと一緒に戦ったシリア人などにも声をかけている可能性がある。

 ショイグ国防相は、中東からの「ボランティア」1万6000人がウクライナで戦う用意があるとプーチン氏に報告している。

 中央アフリカ共和国の動画には、武装したアフリカ人男性たちがロシアのために戦いたいと明言する姿も映っている。

 今のところは、ウクライナに大挙してやって来た証拠はほとんどないが、傭兵だけに頼るよりも外国人の戦闘員を入れる方が部隊は大きくなる可能性はある。

 ただ、こうした戦闘員の士気は特に高くないかもしれない。

 コロンビア大のマルテン氏は、ロシアがリビアのハフタル氏を支援するためにシリア人兵士を送り込んだ時のように、外国人兵士の多くは恐らく「強制的に徴用」されていると見ている。

 内戦の10年間、シリア人兵士は戦うことよりも家電製品を盗んだり麻薬を売ったりすることに才能を発揮していた。