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(英エコノミスト誌 2022年4月9日号)
共通する安全保障上の懸念が中国とロシアを近づけている。だが、よく似た歴史観も両国を結びつける。
ウクライナでのロシアの残虐行為が明らかになるたびに、中国にまつわる疑問が浮上する。
当然、中国の習近平国家主席は近いうちにロシアのウラジーミル・プーチン大統領と距離を置かねばならないのではないか、たとえ、その唯一の目的が中国の国益を損なうのを避けることであったとしても、だ――。
諸外国の政府はそう考えている。
プーチンの戦争の「正しい理解」
残念ながら、外国人が中国の国益を判断する方法を北京の指導者層に向かって説いてきた歴史は長く、失望に満ちあふれている。
ウクライナの紛争も例外ではない。
その理由の一つは地政学であり、中国政府高官や国営メディア、さらには学術関係者や学生に戦争の「正しい理解」を伝える大学開催の特別授業で喧伝されている主張と関係している。
この主張によれば、プーチン氏がウクライナを攻撃したのは自衛のためだった。
米国が欧州諸国に対し、軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)に加盟するよう圧力をかけることによってロシアを侵犯したからだという。
それでは歴史が逆さまになってしまうとしても、旧ソビエト連邦衛星国がロシアからの侵略行為に対する防衛として次々NATOに加盟申請を行った経緯を無視することになるとしても、お構いなしだ。
中国にしてみれば、NATOの拡大はアジアにおける米国の同盟関係構築を想起させる敵対的な行動だ。
従って、米国のいじめに対抗するグローバルな争いにおいてロシアは非常に貴重なパートナーになり、中国としては見捨てることなど許されない相手になる。
この冷徹なロジックに従えば、ウクライナの苦悩など邪魔な話だ。