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(英エコノミスト誌 2022年4月2日号)
ウクライナが決定的な勝利を収めれば、欧州の安全保障ががらりと変わる可能性がある。
ウラジーミル・プーチン大統領がロシア軍の部隊にウクライナ侵攻を命じた時、ロシアがすぐに勝利を収めると考えたのは彼一人ではなかった。
西側の多くのアナリストも、首都キーウ(キエフ)が72時間以内に陥落すると見ていた。
ウクライナ国民の武勇と創意工夫により、こうした予想は裏切られた。
戦争が6週目に入った今、勝利を見込んでいる陣営は、ロシアではなく、ウクライナだ――もし勝てば、欧州の安全保障の地図を塗り替える勝利になる。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は3月25日にキーウで本誌エコノミストのインタビューに応じ、どういうわけで国民の力がウクライナの抵抗の秘訣になっているのか、なぜ戦争の形勢がウクライナ優位に転じているのかを説明した。
「私たちは勝利を信じている」と大統領は言い切った。
「これは私たちの故郷であり、私たちの土地、私たちの独立だ。勝利は時間の問題だ」
反撃に出るウクライナ
戦場も大統領と同じ物語を伝え始めている。
ロシアの攻撃がここ数週間で失速した後、ウクライナ軍が反撃に転じ始めた。3月29日にはロシア側がウクライナ北部での作戦を「根本的に縮小する」と発表した。
この後退は恐らく戦術的なものにすぎないが、ロシアは事実上、差し当たってはキーウを制圧できないことを認めた。
とはいえ、ロシアの手に落ちたままのウクライナ領も多い。
最初からここが主な狙いだったとロシア側が今になって主張している南部の海沿いの地方も、その一部だ。東部ドンバス地方にいる多数のウクライナ軍は、取り囲まれやすい状況にある。