一般選抜の枠縮小は全体的傾向

 早稲田大学政治経済学部についてもう少し詳しく見てみよう。

 定員900人のうち、一般選抜は300人、共通テスト利用入試は50人。早稲田高等学院・早稲田実業などからの内部進学は約280人と一般選抜並みの人数だ。さらにグローバル入試(海外就学経験者)が40人、外国人学生が20人、指定校推薦が約90人。ここに9月入学の英語による学位プログラムでの入学者100人が加わる。AO入試はグローバル入試に置き換えられたため実施していない。

 早稲田の荒木准教授は「一般選抜組の中には、合格が目的化して入学後に無気力になったり、早稲田が第一志望ではなく、入ったもののなじめなかったりする学生もいる。これは能力より意欲の問題」とも語っており、AO入試改めグローバル入試も、国内の受験生には受けられない仕組みになるなど、「欲しい学生像」は明確である。

 こうした、単に学力試験の結果だけでなく、大学側が欲しい受験生を獲る仕組みは、早稲田大学の視点で見れば成功している。なぜなら、学力試験組でない学生は、入学後の成績も優秀であるとされているからだ。

(参考:外部サイト)成績が最もいいのはAO入学者 東北大、早稲田大の内部資料で判明(朝日新聞EduA)
https://www.asahi.com/edua/article/14540038

(参考:外部サイト)早稲田大・恩藏直人常任理事「AO入学者の成績評価が高い」(朝日新聞EduA)
https://www.asahi.com/edua/article/14542674

 ミドル世代以上はいまだに早稲田大学に「在野精神」とか「バンカラ気質」というイメージを持っている人も多いかもしれないが、入学試験のシステムを見れば、大学側は中学・高校受験を勝ち抜いた秀才や若くして海外経験豊富なエリートを増やそうとしているようだ。