コロナ禍でも志願者数が増えている中学受験

 コロナ禍にもかかわらず、中学受験人口は8年連続で増加を続けている。そうした背景から、マスコミも中学受験をよく取り上げる。

 入試の現場からの報道には2回のピークがある。1回目は首都圏の中学入試がスタートする1月10日の埼玉。新聞でもテレビでも全国一の受験者を集める栄東が取り上げられることが多い。今年は栄東に加えて大宮開成を取り上げた媒体が目に付いた。

 2回目は東京・神奈川が始まる2月1日。当然いちばん多くの受験者が挑む日である。この日は媒体によって取材校はバラバラであるが、武蔵を取り上げているケースが目に付いた。各社どこに足を運ぶかは、足の便もあるが、今年はどこが人気か調べて出かけるわけである。

 この時期、まだ受験が終了していない受験生、入試を残している学校があるが、2月1日の出願者数はまとまったので、2022年度入試はどのような出願動向だったのか、見ていきたい。

難関校の志願者は必ずしも増えていない

 東京・神奈川の解禁日である2月1日は有力校の多くが入試を実施している(神奈川の男子は例外で、聖光学院、栄光学園が2日、浅野が3日)。東京では男子も女子もこの日が第一志望であるケースが多い(国立大学附属や公立中高一貫校は3日、私立では慶應湘南藤沢、MARCH系の付属、豊島岡女子学園などが2日)。

 入試を構える学校数が多いこの激戦日は、当然受験生は分散する。その中で出願者数が多かった学校ベスト10を挙げてみよう。

*配信先で表が表示されない場合は以下をご確認ください(https://jbpress.ismedia.jp/articles/gallery/68730)

【表】2月1日入試校の志願者数 男女別トップ10
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 お気づきだろうか。中学受験者人口は増えているが、出願者数ベスト10に出てくる難関校は必ずしも増えていない。男女とも前年より増加したのは4校だけで、減少しているほうが多い。

 難関校における受験者数の減少は、主にチャレンジ層が受験を見合わせることで起きる。つまり今年の受験生はチャレンジングではないということ。コロナ感染を恐れて受験校数を絞れば、合格の可能性の低いところから止めることになる。

 少し話は変わるが、2022年度入試の大きな特徴に、各都県でもっとも易しい学校群の多くが前年より出願者数を増やしたという現象が見られたことが挙げられる。絶対数こそ少ないが、例年だと苦戦が避けられないこうした学校が率ではかなりアップしたことは顕著な動向であった。

 これはオンライン授業などコロナ禍における対応の公立・私立の差が盛んに報道されたことで、急遽私立受験に向かった層が一定数いたことによる。当然、3年間塾に通ってという通常のスタイルにはならないからもっとも易しい学校狙いになるわけである。

 仕事柄毎日のように出願状況を見ていたが、2022年度入試の受験人口増は中堅校からこうした下位校の増でもたらされている。